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vol.18「診断ツアー」

午後、事務所を出発し東名高速を西へと走る事、約2時間。僕とマネージャー小林を乗せた車は今日の会場となる静岡サナッシュへと到着した。

バンドでデビューした頃、なぜかツアーに組まれていた街、静岡。最近はちょっとご無沙汰していて、前回のツアー以来、約3年ぶりに訪れることになる。


僕は幼い頃からメカ好きであった。
小学生の時に自宅のステレオシステムは全て自分で配線したし、中学の時、故障した教室のストーブの電源部分を修理したのは僕だった。最近修理したものの中で「これはすごかった…」と思えるのは「NINTENDO 64」のコントローラーである。
あれは、ギリギリだったなー…。開いてみて、あまりの構造の複雑さに軽くめまいが…。

そして仙台に住んでいた頃は、バイトでPA(音響)屋で働いていた。社員がほとんどいなかったその会社では仕事のほとんどを僕らバイトがやっていたため、バイトとはいえ、思いっきり自分がメインとなって働かなければならず、従って様々な知識と経験をそこで叩き込まれた。ほとんどがアマチュア相手であったが、ライブのミキシングオペレーター、レコーディングエンジニアを結局約4年間やっていたのである。

自分が好きなもの。
機械と音楽。
ライブのミキシングオペレーターとレコーディングエンジニアという仕事は、その2つを融合させた、僕にとっての最高のバイトだったのである。


そんな経緯があって、デビュー後はレコーディングやライブでのプロのエンジニアの仕事や、そこで使われている機材に非常に興味があって、色々と口出ししたり質問したりした。
訊かれた方は面倒臭いのが半分、うれしいのが半分、といった様子できっちり説明してくれるので、必然的に会話も増え、そんな人達とはあっという間に親しくなれるのだった。

この11年で出会ったアーティスト達と自分自身を客観的に比べて見て、明らかに僕は音と機材にシビアな方の部類に入ると思う。


だからわかってしまうのだ。
リハーサルでの作業の仕方や話している事、そして出てくる音で、そのオペレーターが大体どれぐらいのレベルの人で、機材のコンディションがどういう状態かが。


ということで今夜の会場。

使用している音響機材がどうしよもないほどに「終了」していた。
熟練のオペレーターならば、その「終了している」機材でもなんとかまともな音が出せたりもするのだが、そのライブハウス専属のオペレーターはそこまでの経験は積んでいないようだった。

自分が原因で良いライブが出来なかった時は、あきらめがつくと言うか、素直に反省できる。「俺もまだまだだな」「あそこはもうちょっと喋ってから曲に行った方が良かったな」「あの衣装はやめとこう」等々…。


しかし自分ではどうにもならないことが原因だった場合、それは大きなストレスとなる。
もちろん、そんな中でもベストは尽くすし、客席のみんなが良い顔でエンディングを迎えてくれることもある。
そんな時は「みんなが喜んでくれたのならそれでいい」と自分を納得させるのだが、「しこり」のような、やりきれない思いというのが残ってしまうのだ。



爆音で演奏するバンドでのライブの時には目立たなかったり、気付かなかった機材のヘタりやトラブルも、今回のツアーのように「ギター1本&歌のみ」といったシンプルなスタイルだと、露骨に現れてしまう。

Sakamoto Satoru Tour PRIDE は、各会場のPAの状態を診断するツアーでもある。


さて、明日の会場は?



打ち上げ終了後、ホテルに戻って「WE」の原稿書き。
またまたしめ切り大オーバーである。
担当の岳ちゃん、いつもすんません。



【Sakamoto Satoru Tour 2003 PRIDE】

21本目@静岡サナッシュ(静岡県静岡市)
◆ 本日の動員:29名(累計1578名)
◆ 本日のプライド:7枚(累計329枚)
◆ 本日の打ち上げ:ホテル近くの居酒屋
◆ 本日のお召し上がり:焼き鳥
◆ 本日のご宿泊:静岡市内某ホテル


(日々の営み4月15日分より)





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