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vol.14「僕を助けてくれるのは」

目が覚めると同時に体調の異変に気付く。
とにかくだるい。時々出る咳が深い。

そう言えば、今日ほどの深さではないが昨日も咳してたなあ。
みんなより厚着なのに「寒いなー」って連発してたなあ。

…ひょっとして…風邪?


午後、会場入り。

とにかく寒い。
室内だというのにジャケットを着こんだままリハーサル。
スタッフはTシャツのヤツもいるというのに…。

おかしい…明らかにおかしいぞ。
発声もうまくコントロールできない。
高いキーが出ない。

やばいなあ。


リハーサルが終わった頃になると、全身の関節が痛み始める。
どんどん増していく悪寒。


風邪だ。

なんということ。まさかここで風邪とは!


今日の会場が入っている建物の上は、オーナーの住居となっているのだが、そこに用意してくれた布団でギリギリまで眠る。

そして19時40分、予定より10分遅れてライブスタート。
ありったけの薬とユンケルをがぶ飲みして、無理矢理咳を止めてステージへ。


4年前の「3ヶ月で250本ライブ」の時を彷彿とさせる、最悪な状態でのライブ。
とにかく声が出ない。目の前に透明の膜が1枚貼ってあるような感じとでも言えばいいか。声が前に出ていかない。
2年半ぶりの山形でのライブ。
みんな楽しみに待っていてくれただろう。
悔しい。そして申し訳ない。


しかし。
しかしである。
ライブというのはステージ上にいる人間と観客席にいる人間とで作るものだ。特にこの「Sakamoto Satoru tour 2003 PRIDE」においてはその度合いが強い。

ライブの後半、僕はみんなに大切な日にこんな体調になってしまったことを詫び、そして助けて欲しいとお願いした。
ライブ中の僕を助けてくれるのは観客しかいないのだ。


そこからがまさに「ライブの魔法」であった。

もうどっちがステージだかわからないほどの大合唱。
その声に煽られて枯れそうで枯れない僕の声。

それは僕にとって忘れられないステージとなった。
恐らく客席のみんなにとっても。

終演後、楽屋でマネージャー小林が言った。「いやあ、いいライブだったー。」


ライブの時にベストの体調に持っていけないということはプロとして恥ずべき事だ。
しかし僕は体調が悪い時のライブが、必ずしも良くないものになるとは限らない事を経験から知っている。
むしろ、声が出ない時の方が「届けたい」という気持ちだけで歌うわけだから、「強い」ライブになることが多いのだ。

とは言え、もちろんきっちり歌える方が良いに決まっている。
もっと体調管理を徹底しなければ。
来てくれたみんな、ほんとにごめん。そしてありがとう。


ライブ終了後、救急病院で受診。体温37.5℃。
インフルエンザの可能性と、肺炎の可能性があると指摘される。とにかく咳が深かったのだ。

インフルエンザの検査結果が出るまでの間、肺のレントゲンを撮る。

10年以上前に肺炎で入院した事があったため、ちょっとドキドキして結果を待っていたのだが、無事、インフルエンザでもなければ肺炎でもない、とのことだった。


明日は秋田で丸1日キャンペーンである。
大丈夫かな。

とにかくもう寝よう。


ー おまけ ー

今日は父の誕生日だった。
楽屋から電話した時には「もう64になったよ」と言っていたが、65じゃなかったけ?
…。

ま、何才でもいいや。
誕生日おめでとう!
いつまでも元気でいて下さい。



【Sakamoto Satoru Tour 2003 PRIDE】

10本目@山形サンセットスタジオ(山形県山形市)

◆ 本日の動員:36名(累計914名)
◆ 本日のプライド:6枚(累計213枚)
◆ 本日の打ち上げ:なし
◆ 本日のお召し上がり:コンビニ弁当
◆ 本日のご宿泊:山形市内某ホテル


(日々の営み2003年3月20日分より)





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