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vol.09「降りてこい!」

午後の便で札幌へと向かう。
AIR-Gの看板番組「GOIS」に生出演&レギュラー番組の収録のためだ。

明日、東京に戻るまでにできれば2曲、少なくとも1曲分の歌詞を完成させなければならないため、飛行機の中で書くぞ!と意気込んでいたのだが、連日の睡眠不足により、飛行機が羽田を飛び立つ前にすでに爆睡の私。

「あー…寝ちゃったよ…」と悔やみつつ目を覚ますと、とっくに到着予定時刻を過ぎているにもかかわらず、僕らを乗せた便は、まだ雲のはるか上を飛んでいる。
「あれれ?」と思っていると「新千歳空港が雪のため、除雪が完了するまで空港上空を旋回して待つことにしましたよ」とアナウンスが…。ついで「おっす!機長だよ!僕らが着陸するのは7番目になりそうだよ!それまで、まだしばらくグルグル回っっちゃうからね!」と操縦室からのお知らせ。

結局1時間半回ってました。

通常は1時間半で着くところを計3時間乗ってたわけだ。グアム行けたな。それにしてもよく燃料もったな。

僕は仕事柄よく飛行機に乗るが、予定した便が飛ばなかったのが今までに1回(鹿児島空港にて。台風のため)だけ。飛んだ飛行機が何らかの理由で目的地を変更したことはゼロ、である。

10年間、毎年平均30回は乗るとして、計300回以上。300回以上乗って、予定変更はたったの1回である。これ、誰に話しても「そんなことってありえるわけ?」と驚かれるのだが本当の話だ。晴れ男だしな。

天気の神様というのがどこかにいるとしたら、間違いなく俺は可愛がられてるね。
なんて呑気なことを言っている場合ではない。「GOIS」は生放送。僕出番は5時過ぎなのだ。

預けた手荷物の受け取りはマネージャー小林にまかせ、1人JRにて札幌駅へと向かう。ほんとにすごい雪だなこりゃ。
結局、AIR-Gスタッフの皆さんをハラハラさせながらも、生放送にはなんの支障もなく出演。そして、休む間もなくレギュラー番組「ウタノチカラ」2週分収録。
以上で本日の「お仕事その1」終了!


夜、今年初めての札幌、ということで、AIR-Gスタッフの自宅にて新年会が催される。
手料理がとにかく素晴らしく、後ろ髪をグイグイと引かれる思いであったが、今夜の僕には大事な「お仕事その2」が待っているのだ。


ホテルに戻って歌詞を考える。
ニューアルバムに収録される11曲のうち、まだ2曲分の歌詞がほぼ、ないに等しい。
にもかかわらず曲順はなぜかとっくに決まっていて、その2曲がトップとラスト、という非常に重要な位置を占めることになっているのだ。

自分でも不思議なのだが、この2曲は「歌詞が同時にできる」という予感がしてならない。
もうすぐそこまで近づいている気配はするのだが、どうしても掴めない。

無茶苦茶なスケジュールではあるが、明日、2曲ともボーカルを録って、あさって2曲分のTDをやらなければ予定通りにリリースができない。
浮かべ!浮かべ!浮かべ!降りてこい!降りてこい!降りてこい!

集中する。何かが見えてくる。触れそうになる。さーっと逃げていく。を延々と繰り返す。
確かに近づいている。でもまだ届かない。


札幌の街に朝が来た。
とうとう歌詞はできなかった。


結局一睡も寝れずに迎えた朝。
札幌駅から新千歳空港へと向かう列車の中で、小林に「レコーディングスケジュールをなんとかずらせないか」と相談する。マネージャーとしてではなく、共同経営者としての相談だ。
レコーディングをずらすことで、そこには当然予定外の経費がかかってくる。今までのように簡単に「歌詞できないからスタジオあと1日押さえて」なんて言えないのだ。
小林は5秒ばかり困った顔をして、すぐに「延期しよう」と言った。
このアルバムがどれほど重要なものか、小林が誰よりも1番わかっている。

調整の結果、レコーディングは約1週間、延期された。


今はただ、とにかく眠りたい。


(2003年01月6、7日の日々の営みより)





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