カセットアルバム「僕の宝物」について

 
1990年9月にコロムビアレコード創立80周年記念オーディションでグランプリを受賞した僕らは賞金100万円を手にした。正確には源泉が引かれて振り込まれたのは90万円だったのだが、当時の僕らは「源泉引かれて」の意味もわからず、当然還付金が戻ってくることもなく「なんだよ90万しかもらえないじゃないか」と釈然としないままだった。それはともかく。
その90万のうち、僕と渡辺とでアコギを1本ずつ買って50万を使った。そして残りの賞金を使って制作し、購入希望者だった約250名全員にその年の11月に無料で配布した作品…というのがカセットテープで制作されたこのアルバム「僕の宝物」だ。
 
音楽メディアがレコード、カセットテープからCDに置き換わろうとしていた1990年時点では、アマチュアバンドが自主制作で作品をリリースする時にはカセットテープが有力な選択肢だった。
クレジットと歌詞は全12ページの小冊子を自分たちで作ってそこに掲載した。「テープと小冊子セットの作品」という事になる。
 
この中に後にデビューシングルとなった「お宝 〜大切な君だから」の原曲「お宝」が収録されている。
それまで手探りで曲を書いていた僕はその曲ができたことで「自分のオリジナリティとは何なのか?」をようやく掴みかけていた。これはひょっとして…とその曲で応募した3つのオーディション全てで全国大会に出場が決まり、予感は確信に変わる。そしてその中のひとつ「コロムビアレコード創立80周年記念オーディション」でグランプリを受賞したことで僕は進むべき方向がようやく見えたのだった。
 
そのオーディションが終わった夜のこと。
会場となった日本青年館の地下にある宴会場で、3位以内に入賞したバンドが出席した盛大な打ち上げが開催された。宴の最後にそれぞれのバンドの代表が一言ずつ挨拶をすることになった。確か僕らと2位のバンドはデビュー確定。3位のバンドがデビューできるかどうかは今後次第、というような条件だったと思う。
まず2つのバンドの代表が受賞の喜びと今後に対しての覚悟を語り「これからプロミュージシャンとして頑張ります!よろしくお願いします!」的な話で締めた。
 
その挨拶を聞きながら僕はどんどん冷めていった。「こんなに簡単に喜んでいいのかな…」と。こっちは、ようやく自分なりの曲の書き方を掴みかけたところなのだ。デビューするからには音楽を一生の職業としたい。そのためにもこのままデビューしてはいけない、あまりにも時期尚早だ。
メジャーデビューしても、すぐに契約を切られて地元に帰ってきた先輩を何組か知っていた僕は「ただデビューするだけでは意味がない」と考えていた。
 
「それでは最後にグランプリを受賞したJIGGER'S SONです!」と司会者に呼ばれ、僕らはぞろぞろと前に出た。代表して僕がマイクの前に立つ。お酒も入って会場の盛り上がりが最高潮に達したと思われるその時、真ん中に立った生意気なボーカリストはこう言ってのけたのだ。「グランプリは嬉しいがまだデビューはしたくない。もう少し待って欲しい」と。
 
その時の会場のしらけ具合と言ったら。
後にコロムビアのスタッフから「あの挨拶を聞いた時にはこいつらをグランプリにしなきゃ良かったって本気で思った」と言われたほどの危険(?)を冒しての発言。逆にそれぐらい本気だったんです!(涙)
 
その後の数ヶ月間でひたすら曲を書き、バイト先のスタジオでこっそりレコーディングしてこのアルバムを作り、慎也を正式メンバーに迎えてツアーを何本かこなし、そして2年後の1992年にほんとに僕らを待ってくれていたコロムビアレコードから遂に僕らは「お宝〜大切な君だから」でメジャーデビューを果たした。
 
あの日から今年でちょうど30年。
色んなことを乗り越えて、僕らは今年もおなじ4人でステージの上に立った。我がことながらこれは本当にすごいことだと思う。
 
メジャーデビュー30周年を迎え、ファンの方からこのカセットテープの写真が送られてきて存在を思い出した。「そう言えばDATでマスター録ってたな」とスタジオをゴソゴソ探すとそれはすぐに見つかった。恐る恐る再生ボタンを押す。
次々と繰り広げられる32年前の自分たちの音楽。その稚拙さに苦笑いしつつ、しかし確かに地続きで今に通じるものもたくさん感じたのだった。
 
元々、約250本しか作らなかった現在入手不可能なアルバム。幻の作品としてファンの皆さんの間で伝説的な存在になっていることも聞いた。マスターテープが残っているし、メンバー全員からのOKも出た。そして僕らは昔の失敗を笑い飛ばせるほどに大人にもなった。(もちろんこの作品が失敗だとは思っていないけれども)
今年は記念の年だし、みんなに聴いてもらってもいいか!
 
というわけで今回、まさかの32年後のデジタルリリースが決定した。
坂本サトル23才、渡辺洋一30才、坂本昌人21才。当時ハタチだった鈴木慎也がJIGGER'S SONに加入するのはこのアルバムがリリースされた翌年のこと。
オリジナルメンバーだったドラムの大光ワタルに数曲叩いてもらったのだが、彼は別バンドで一足先にメジャーデビューしていたため本作では「BIG-LIGHT」という変名でクレジットされている。他の曲はRolandのリズムマシンを駆使して僕がプログラミングした。
 
このアルバムは「できるだけ多くの人に聴いて欲しい!」という類いのものではない。このアルバムの存在意義を理解している人にだけ届けば良いのだ。
こんな気持ちで作品を世に放つのは初めてのことだけれども、これもデビュー30周年の企画のひとつということで。
 
リリースから32年後に蔵出しされる「駆け出し時代のJIGGER'S SON」。
色々とイタいところもありますが、若気の至りとご容赦を…。
購入特典として全員にハイレゾ音源プレゼント!楽しんでもらえますように!
 
2022年11月 坂本サトル 
 

 

リリースに寄せて

 
久しぶりに聴きました。
遠い昔の事のようでもあり、ちょっと前の事でもあり。
不思議な気持ちになりました。
まさに「僕の宝物」です。(渡辺洋一)
 
 
今ではお馴染みのあの曲やこの曲の歌詞やアレンジがだいぶ違っていたりして楽しめます。すっかり忘れてたけどこんな良い曲があったんだなーと感心しながら聴きました。
当時のレコーディングやライブの風景がよみがえってきました。(坂本昌人)
 
 
この頃のジガーズサンは、アルバイト先の先輩バンドでした。
なんとなくドラムで揉めてるな~と他人事の様に見ていましたが、声がかかりオーディションをやる事に。
何をもって合格したのか未だ謎ですが、かわいい後輩は加入したのでした。
このアルバムでドラムを叩いている大光さんのプレイが、あまりにもピッタリはまっていて、当時は折り合いをつけるのに苦労した記憶があります。
「僕の宝物」、打ち込みの曲もあるし、みんなのプレイもエネルギッシュだし、サトルさんは世良節出てるし、聴きごたえがあります!(鈴木慎也)
 
 

【作品詳細】
 
「僕の宝物 / JIGGER'S SON」
全9曲入り、価格¥1,500(税込) LinkIcon 収録曲・歌詞
*発売日:2022年11月01日
*販売形式:ダウンロード  LinkIcon 購入する
*データ形式:MP3データ
*特典データ形式:WAVデータ(24bit/48kHz)

 

オリジナルデータ
全9曲入り、カセットテープ
*発売日:1990年11月
*販売形式:予約者への無料配布

 

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※この画像はファンの方から提供して頂きました。
 
 
 

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JIGGER'S SON / 僕の宝物

※タイトルをクリックすると詳細パートにジャンプします。
 

01. INTRODUCTION
02. ルビー(1990 僕の宝物 ver.)
03. コーヒーを入れよう(1990 僕の宝物 ver.)
04. 君の詩(1990 僕の宝物 ver.)
05. 砂利道
06. 君は泣かないと約束した(1990 僕の宝物 ver.)
07. すごい
08. 雪のないクリスマス
09. お宝(1990 僕の宝物 ver.)

 
 

original data(ジャケットより転載)

 
arranged and performed by JIGGER'S SON
mixed by HITOSHI AIZAWA and J'S SON
symbol designed by SATOSHI' satoQ' SATOH
title designed by TOHRU SAKAMOTO

thanks to:BIG-LIGHT, TAKAYUKI ANDO, YASUYUKI OHKUBO, SADAKUNI ITO and NIPPON COLUMBIA CO.,LTD.

"Who is BIG-LIGHT ?!!!"

present for you, KIDS of JIGGER'S SON
NOVEMBER 1990 with a thankful heart
 
SATOLU SAKAMOTO / vocal, rhythm guitar,chorus, keyboards and rhythm programing
YOH- ICHI WATANABE / lead guitar, chorus
MASATO SAKAMOTO / bass, chorus

01. INTRODUCTION

曲 / 坂本 覚
 
musician
坂本 覚:programming
 

 
 
 

02. ルビー(1990 僕の宝物 ver.)

詞、曲 / 坂本 覚
 
おまえが好きなルビーだよ 忘れない
忘れない 忘れない
涙ふくその指 メッキははげかけて
 
「本物よりもきれいだよ」うなずいて
どんな時もガラス玉
その細い指 偉そうに光ってた
 
覚えているかい?おまえは
指輪と交わした約束を
 
偶然見かけたおまえの指 誰かの腕の中
ダイヤのリングのそばに
あのガラス玉 確かに光ってた
すれ違う想い出におまえは気付かぬまま
灰色の人ゴミに消えてゆく
 
おまえが描いた幸福も遠い夢
つかんだと思ってた 小さな小さな喜びは はかなく
 
覚えているかい?おまえは
指輪と交わした約束を
 
偶然見かけたおまえの指 誰かの腕の中
ダイヤのリングのそばに
あのガラス玉確かに光ってた
あの頃の自分をおまえは誇りにして
いつまでもその指にガラス玉
 
 
musician
坂本 覚:electric guitar, programming
渡辺 洋一:electric guitar
坂本 昌人:bass
BIG-LIGHT:drums
 
当時、オーディションによっては2曲の演奏が必要で、そんな時に「お宝」と一緒に演奏したのが同時期にできたこの曲。とにかくボーカルにかかってるディレイがデカ過ぎて「何事か!?」と思わせるが若気の至りその1ということで…。
1992年にリリースされたメジャーデビュー後2枚目のアルバム「おなじ空の下で」にアレンジを大きく変えて収録された。(サトル)
 

 

 

03. コーヒーを入れよう(1990 僕の宝物 ver.)

詞、曲 / 坂本 覚
 
どんなに寝ぼうをした朝でも 仕事にでる前に
君は僕の為にコーヒーをいれてくれた
毎朝違う豆を使うのが君のこだわりだったけど
角砂糖とミルクで僕にはいつも同じ味なんだ
 
君が出ていったそのわけは ため息のみこむ むなしい朝
 
コーヒーをいれよう 何もたさずにそのままで
コーヒーをいれよう 君の努力に気付くように
 
自分でいれたコーヒーのそのまずさで初めて気が付いた
きっと何もいれなくても君のコーヒーはうまかったんだろう
疲れていつも不機嫌だった僕に君がしてくれたのは
僕の笑う顔が見たくて 例えばうまいコーヒーをいれること
 
君の精一杯の思いを 角砂糖でかき消してた
 
コーヒーをいれよう 何もたさずにそのままで
コーヒーをいれよう 君の努力に気付くように
 
いつかうまいコーヒーがいれられるようになれば
その香りに誘われて 君が帰ってくるかもしれない
 
 
musician
坂本 覚:electric guitar, programming
渡辺 洋一:electric guitar, acoustic guitar
坂本 昌人:bass
 
この曲も「ルビー」同様、デビュー後に「おなじ空の下で」に収録された。
2番の歌詞がメジャー版では一部削除されている。(サトル)
 

 

 

04. 君の詩(1990 僕の宝物 ver.)

詞、曲 / 坂本 覚
 
君が出会った 君が僕を見た 遠い昔のこと
君はわかった 君は耳をふさいだ 少し昔のこと
 
凍えた体 一人ぼっち 暖めるものをわざと遠ざけて
せまい部屋のすみっこで 周りの全てを恨み続けていた
 
君が決めた 君が僕を信じた 遠い昔のこと
君が叫んだ 君が僕をなぐった 少し昔のこと
細い体逃げるように 盗んだバイクにとび乗って街を出た
気付いて 静かにエンジンをとめた
次の街もきっと信じられるものはない
 
冷たいその手で嘘をとめて 臆病にならないで
冷たいその時に目をそむけて 一人だけで生きないで
 
僕の目をじっと見て 笑う顔が好きだった
離さないでと握った 小さな手が好きだった
また大きなため息
 
君が笑った 君が許した 遠い昔のこと
君が泣いた 君が髪を切った 少し昔のこと
 
凍えた体 一人ぼっち 暖めるものをわざと遠ざけて
せまい部屋のすみっこで 周りの全てを恨み続けていた
 
冷たいその手で嘘をとめて 臆病にならないで
冷たいその時に目をそむけて 一人だけで生きないで
 
 
musician
坂本 覚:electric guitar, chorus, programming
渡辺 洋一:electric guitar, acoustic guitar
坂本 昌人:bass
 
アレンジがあっちこっち行ってて不思議な曲だな、と思う。
メジャーデビュー後にサウンドプロデューサーを迎え、歌詞も含め色々と整理してリリースされた。この曲もデビュー後に「おなじ空の下で」収録。
このデビュー後のJIGGER'S SON2枚目のアルバム「おなじ空の下で」は、収録された7曲のうち実に5曲がアマチュア時代に書かれたもので、このアルバムをもってアマチュア時代のストックがゼロ!となり、この後とんでもなく追い詰められた事を今、思い出しました。(サトル)
 
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05. 砂利道

詞、曲 / 坂本 覚
 
疲れ果てて立てなくなる夢を見ていた
笑いながら走りぬけて行く夢を見ていた
 
遠く遠く続く道の途中で
道端の草や花をきれいだと思っていたい
この砂利道がアスファルトの道じゃないことを
静かに誇りに思いながら
 
見かえりを望まない歓声は 遙か彼方に
 
BE MY SIDE あなたが味方ならばいいのに
BE MY SIDE 僕の歩く姿を見ていればいいのに
 
その角を曲がれば 行き止まりが見えそうで恐くなった
にやついた大人に鼻先で笑われて 少し安心した
 
名前も知らないあなたが汲んでくれた水は
きっといつまでも僕の体に残っているよ
この砂利道の石ころがつける傷など痛くはない
道端の草や花が癒やしてくれるから
 
見かえりを望まない歓声は遙か彼方に
 
BE MY SIDE あなたが味方ならばいいのに
BE MY SIDE 僕の歩く姿を見ていればいいのに
BE MY SIDE あなたが僕の味方であるように
 
 
musician
坂本 覚:acoustic guitar, electric guitar, programming
渡辺 洋一:electric guitar, acoustic guitar
坂本 昌人:bass
BIG-LIGHT:drums
 
歌詞に関して言えば独りよがり感と稚拙さは否めないが、今55才になってこれまでの音楽人生を振り返れば、まさに舗装された道と言うよりは砂利道だったよなーと思うから、ある種の予言めいた曲だったとも言えるか。
歌詞の世界観もどことなく「天使達の歌」と共通していると思えなくもない。結局あれからあんまり変わってないってことかな…。
それはともかく、今、客観的に聴いてみてもこの曲のコード進行と曲の構成は見事だと思う。特にキーがGの曲でサビがGm(フラットチューニングのため正しくはG♭とG♭m)から始まるところ、間奏部分の展開、エンドのギターソロ等、こいつらただ者ではないかも?…と感じるものが確かにある。今回、初蔵出し。(サトル)
 

 

 

06. 君は泣かないと約束した(1990 僕の宝物 ver.)

詞、曲 / 坂本 覚
 
改札口で振り返って 高く右手を上げて
大きく息を吸いこんで 君にさよならと言った
背のあまり高くない君は 人ゴミの中消えそうになる
 
スーツとスーツのすきまから 少しだけのぞいた君の顔
僕は見たんだ 確かに君は泣いていた
 
ピンと伸ばした背すじに君は強がりをみせて
一度だけ吸った唇にせつなさをのせて
今君が好きだと言ってくれたら 大事なもの全部捨ててもいい
さあ迷わずにここにおいでよ 後ろなんか見なくていい
大丈夫さうまくいくよ 君とならうまくいくよ
 
「ここで私が泣いてしまったら 涙が乾いた時に
 こんなに近くにいたあなたのことが思い出に変わってしまうから」
「あなたへの気持ちだけは 今日で終わらないから」
君は泣かないと約束したけど
 
僕が階段に消えてしまったら はずしてた指輪を元にもどして
涙が乾くのを待って 僕の知らない誰かの腕 戻ってしまう
 
「あなたに会えてよかった」と君は最後に言ったけど
大好きだったその黒い目は「遅すぎたわ」と光ってた
 
ピンと伸ばした背すじに君は強がりをみせて
一度だけ吸った唇にせつなさをのせて
 
今 僕が君の肩を抱いても 君は帰る場所を変えられない
わかりきってたこの恋の終わりの忘れ方を君は知っている
泣かない約束しただろう さようなら好きだった人よ
 
 
musician
坂本 覚:electric guitar, chorus, programming
渡辺 洋一:electric guitar
坂本 昌人:bass
 
※曲中のノイズはマスターデータに収録されていたものです。ご了承下さい。
 
このテイストはいまだにあるよなー、と自覚。当時の機材でここまで細かく打ち込んでいる事には我ながら驚く。特にAメロのハイハットの微妙なニュアンス。頑張ったんだなー。
デビュー後、1995年にリリースされたコンセプトアルバム「Birthday」に収録された。(サトル)
 

 

 

07. すごい

詞、曲 / 坂本 覚
 
取るだけ取ったその次に 貰うだけ貰ったその金で
余計なモンばっかりつくりやがる
だけど選んだのはオレ達
 
「持つなつくるな 持ちこむな」「遠い昔を思い出せ」
口と手先は別のもの
もっとすげえモンつくってやがる
 
あんたのすることにはいつもハラハラ
だけど期待はずれ 気のぬけたビール
僕等の目玉はただのふし穴
 
すごい すごい すごすぎる
すごい すごい すごい二枚舌
すごい すごい すごすぎる
選んだオレ達すごすぎる
 
取るだけ取ったその次に「あれが欲しいのお願いよ」
なけなしのサラリー底をつく
だけど選んだのはこのオレ
 
飲めや歌えの大騒ぎ かわいいあの娘の流し目だ
ドサクサにまぎれてしけこむぞ
苦節半年 報われぬ苦労はない
 
あんたのすることにはいつもハラハラ
だけど期待はずれ 気のぬけたビール
僕等の目玉はただのふし穴
 
すごい すごい すごすぎる
すごい すごい すごい二枚舌
すごい すごい すごすぎる
選んだオレ達すごすぎる
 
 
musician
坂本 覚:electric guitar
渡辺 洋一:electric guitar
坂本 昌人:bass
BIG-LIGHT:drums
chorus:JIGGER'S SON and many friends
 
頭からエンディングまで苦笑いが止まらない、曲全体が若気の至りそのものという問題作。でも楽しそう。曲はともかく、このスピリットは確実に今に続いている。確かライブではめちゃくちゃ盛り上がる定番曲だったはず。この曲も初蔵出し。(サトル)
 

 

 

08. 雪のないクリスマス

詞、曲 / 坂本 覚
 
華やかなキャンドルに明かりを灯し
小さなツリーと大きなケーキが
そして大事なあなたが肩を抱く
それがおまえの ささやかな夢
 
その小さな夢がどうやら
今年もかなえられそうにない
またおまえは俺を責めるだろう
そして静かに笑って許すだろう
 
「一人でいるとそんな日も忘れてしまうわ」
「雪のないそんな所じゃあなたもその気になれないでしょう」
 
メリークリスマス 聞こえているかい?
メリークリスマス おまえにはただの冬の夜
ふと聞こえるにぎやかな歌に
忙しいその手をおまえはとめて
誰かを想う
 
今日がそんなにも特別な日なのか
いつもの通り俺もおまえも仕事に追われてる
通りにあふれる男と女が
なんだか楽しそうに へらへら笑ってる
 
メリークリスマス 聞こえているかい?
メリークリスマス おまえにはただの冬の夜
ふと聞こえるにぎやかな歌に
忙しいその手をおまえはとめて
誰かを想う
 
 
musician
坂本 覚:12 strings acoustic guitar
渡辺 洋一:acoustic guitar
 
これまでで書いた直接的なクリスマスソングはこの曲のみ。
渡辺と2人だけの演奏。2人ともオーディションの賞金で買ったアコギを弾いている。初蔵出し。(サトル)
 

 

 

09. お宝(1990 僕の宝物 ver.)

詞、曲 / 坂本 覚
 
真夜中こっそりぬけ出して いつもの店で待ってな
誰も知らない僕だけの場所 君を連れてってあげるよ
 
ここから見える景色は 君と僕だけのもの
誰にも言っちゃだめだよ 君だけに教えたかった
 
ずっとずっと考えてた HIGH SCHOOL BOY
笑顔なんてあやふやで 余計不安になるだけ
言葉なんて安っぽくて うまく伝わるはずもない
教えてやるよ大切な宝物 大切な君だから
 
GOOD BYE PAST DAYS 偽りの日々
もう怖いものはないよ 君が味方だから
君を守って守られて 嘘をついて謝って
二人は一緒に大人になってゆく
 
初めて買ったグローブ 河原で集めた赤い石
誰かがくれた外国のコイン 転んで割ったバイクのミラー
君には子供の頃の僕が見えるだろう
このガラクタのプライドを守るために
嘘をついた 意地を張ってた
 
ずっとずっと考えてた HIGH SCHOOL BOY
笑顔なんてあやふやで 余計不安になるだけ
言葉なんて安っぽくて うまく伝わるはずもない
教えてやるよ大切な宝物 大切な君だけに
 
GOOD BYE PAST DAYS 偽りの日々
もう怖いものはないよ 君が味方だから
君を守って守られて キスをして抱きあって
二人は一緒に大人になってゆく
 
 
musician
坂本 覚:electric guitar, chorus, programming
渡辺 洋一:electric guitar
坂本 昌人:bass
BIG-LIGHT:drums
 
結局この曲がデビュー曲となったがリリース時にずいぶん歌詞を変えた。「英語詞を一切使わない」という信念の元、自分の意思で書き換えた部分が多かったが、唯一、「言葉なんて安っぽくて」は気に入っているフレーズだったがスタッフの意見によりメジャー版で歌詞が変更された。
その時は納得して書き換えたはずだったのだが、この30年間、その時のことが苦い想い出としてずっと脳ミソの片隅にへばりついていた。結論がどうであれ、もっと戦うべきだったのではないか?という自責の念。
どちらの歌詞が良かったのか?というのは結論の出ない問題だと思う。しかしこのバージョンが世に出ることになって、あの時封じ込めた想いが解き放たれたような気持ちになった。32年目のすっきり。この作品をリリースする最も大きな意味なのかも。(サトル)